はじめに
金属板が熱を受けて形状が変わるというのは一見不思議な現象に思えますが、実はこれには科学的な根拠があります。
この記事では、熱膨張の原理から内部ストレス、そしてどのような素材や温度が関係しているのかまでを詳しく解説します。
熱膨張の基礎知識
熱膨張とは、物質が熱を吸収することで体積が増大する現象です。
金属などの固体物質は熱を加えると、その原子や分子がより高エネルギーの状態に遷移し、動きが活発になります。
その結果、物質全体として拡大する傾向があります。
この熱膨張が均等に行われないと、形状に変化が生じることがあります。
参照:株式会社特殊金属エクセル
内部ストレスとその影響
四角い金属板には、特に角に内部ストレスが集中しています。
熱を加えるとこの内部ストレスが解消されようと、物質が変形します。
実際には、熱膨張によって生じた新たな内部ストレスと、元々存在していた内部ストレスが相互作用して、四角い形状が丸くなるというわけです。
丸くなる素材と温度
金属には熱膨張係数という値があり、これが高いほど熱膨張しやすいです。
たとえば、アルミニウムは銅よりも熱膨張係数が高いので、より短時間で丸くなる可能性が高いです。
また、一般的には高温にするほど熱膨張の度合いが高くなるため、早く丸くなります。
素材 | 化学記号 | 融点(°C) |
---|---|---|
鉄 | Fe | 1,538 |
亜鉛 | Zn | 419.58 |
アルミニウム | Al | 660.3 |
銅 | Cu | 1,084 |
錫 | Sn | 231.93 |
鉛 | Pb | 327.46 |
丸くならない素材
逆に、炭素繊維やセラミックなどは熱膨張係数が低い素材です。
そのため、これらの素材は熱を加えても形状がほとんど変わらないことが多いです。
また、合金によっては熱膨張が抑制されるものもあり、形状が安定しています。
素材 | 化学記号 | 備考 |
---|---|---|
炭素繊維 | C | 熱膨張係数が低い |
セラミック | - | 熱膨張が非常に低い |
タングステン | W | 高融点 |
イリジウム | Ir | 高融点 |
モリブデン | Mo | 高融点 |
チタン合金 | Ti | 熱膨張が抑制される |
まとめ
四角い金属板が熱で丸くなる理由は、熱膨張と内部ストレスが密接に関係しているからです。
素材や温度によってその度合いが異なるため、実験や応用の際にはこれらの要素を考慮する必要があります。
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